Fitzgeraldの日常

通訳案内士資格保有の貿易業の日常を書き綴っております。

修行僧

 SFCという言葉を聞いてすぐにANA Super Flyers Cardのことだと気づく人は、相当なマニアだと思う。年に数回、飛行機を使う人にとっては、このカードは無用のカードだと思う。ただ毎月1回国内線に乗る人にとっては、羨望のカードなのかもしれない。

 たしかに、飛行機に搭乗する際の「空港カウンターでの発券・手荷物」「搭乗時の長者の列」「手荷物が出てくる遅さ」にはイライラする。特に手荷物が最後の方に出てきた時の苛立ちは、ハンパ無い。

 そこで大手エアライン2社では、純粋に搭乗回数、フライト距離数に応じて、マイル積載とは別に(これは買い物でもたまる)、Fly ONポイントやプレミアムポイントというポイントを付けている。そしてそのポイント数に応じて、上級会員なのか、一般会員なのかを仕分けしており、エアラインが認めた「上級会員」には、それ相応の特典されている。

 一般的な特典は、優先搭乗、航空会社ラウンジの使用、手荷物の優先返却で、後はキャンセル待ちの順序が早かったり、手荷物が+1個余分に無料で預けられたりもする。

  毎月頻繁に乗っている人にとっては、普通に溜まっていくものだし、滅多に飛行機を使わない人にとっては、まぁ必要無い。むしろ上級会員になれずに、かといって毎月1回位のペースで使っている人にとっては、待ち時間をラウンジで過ごすことが出来たり、はたまた手荷物返却の時間を短縮できたりできる事は、すごく魅力的に感じるのだろう。

 かくいう自分も以前まではそうであったのだから。自分の場合は、頻繁に中国と日本を往復する時期があり、その際に取得したので、このテのことはしなかったが、もし自分もずっと一般会員で有り続けていれば、上級会員になりたいという願望に突き動かされていたかもしれない。

 やはり上級会員になりたいという願望をもっている人は結構いるみたいで、ネットでもSFC修行とよばれる、その上級会員になる為だけにフライトをする人々のページが存在する。昨日今日と眺めてみたが、いやはや、その努力には脱帽するばかりだ。尊敬はしないけどね。

 そのSFC修行をしている人を「修行僧」と呼ぶらしく、修行僧はポイント単価が安いルートを探し、ひたすらフライトする。国内線では【羽田−那覇−宮古島】ルート、国際線では【シンガポール−東京】ルートがメジャーなようだ。シンガポールに行くのに、空港に降り立って、そのまま帰国。これを専門用語で「シンガタッチ」というらしい。

  自分がすごく興味をもった理由は、全日空では、国際線と併せて国内線を予約すると、国内線が5000円と格安になる(国際線スペシャル)し、旅割、特割もある。そして国際線もエコ割やスーパーエコ割などの割引もあるし、当日のアップグレードなども考えれば、それはまるでパズルのように運賃+ルート+時刻表を照らし合わせていくのだろう、と思えるところ。おそらく発生するであろう支払い額(40万ぐらい)を準備するよりも、こちらの労力の方が大変だと思われる。

 かくして、巷にはSFCカードを持った人々が溢れかえる事になってしまった。海外の航空会社では、この手の会員ステータスは1年限りだが、国内航空会社の場合は、ステータス保有の1年間に自社クレジットカードを作れば、カードを解約するまでステータスが続く。これが溢れかえる理由だ。

 正直いうと、伊丹空港での優先搭乗では、既に優先搭乗に長蛇の列が出来ており、それだけ多いと、手荷物も早く出てこない・・・。しかも待ち時間に使っているラウンジは、特に関西空港の「急遽作りました」感漂う狭いラウンジでは、座る場所が無かったりする。

  自分はずっと納得出来なかったのだ。それに加えて、ANAの手荷物ルールの変更。変更というか、はっきり言って改悪。無料で預かってもらえる手荷物は個数とサイズで決まっている。そのサイズをANAは大幅に小さくしたのだ。既に86Lのトロリーぐらいから有料になると思う。アジア圏では十分かもしれないが、欧米に行こうとして109Lなどを持って行くと、それだけで結構な追加料金を取られてしまう。いわゆる、飛べば飛ぶほど「超過料金貧乏」状態。しかも上級会員だったとしても、無料手荷物に出来る「個数」は増えても、サイズは増えない。ここにANAの強かさを感じるのだ。

 

 一方、自分の中ではズボラ航空会社の日本航空は、ANAより大きいサイズを無料で預かってくれる。もう、いっそのこと、来年からは日本航空に変更しようかな、と考えてしまう。極論を言えば、長距離路線を使うと手荷物が無料では無くなるって、理不尽すぎるのだ。

 ということで、来年からは長年親しんだ葉加瀬太郎から、鶴丸に移籍します。