Fitzgeraldの日常

通訳案内士資格保有の貿易業の日常を書き綴っております。

悲しいお別れ

  冬という季節は、カップルにとってどういう季節なのだろうか。春は出会いの季節であり、秋は別れの季節、夏と冬は恋人たちの季節、というようなイメージだ。夏の海水浴や祭、バーベキュー。冬のイルミネーションに初詣。恋人たちが輝く季節ではある。

 
  さて、季節はもう冬であるはずなのに、自分には別れの季節。
ある日突然「もう来ないでいいです」と言われたのである。
 
  その彼とは、少し汗ばむ初夏に出会った。そして多い日には毎週末、忙しい時には隔週ぐらいのペースで通っていた。いつの間にか自分は、その彼の虜。自分を見つめる彼の優しげな視線と、まだあどけなさが若干残る顔に反してたくましい腕と太い指。
 
  そして会えば必ず彼は口の中に指を入れてくる。自分の口内を、時には優しく、時には強く弄り回すのだ。いまだかつて、口内が性感帯であるとは知らなかった。だけれども、彼の太い指を受け入れた時にわかったのである。口は性感帯であると。
 
  その彼が「もう来なくてもいい」と言ったのである。それも笑顔で。その彼は苦し紛れに笑顔になったのだろうか。いいや、そうではないと自分の直感が教えてくれる。
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  そう、そのかれは歯科衛生士だったのである。かれこれ半年前に、急に歯が痛くなって、我慢できずに近所の歯医者に向かった。そしてそこで働いていた衛生士が、全国でも珍しい男性の歯科衛生士だったのである。苦であった歯科通いも、彼がいるおかげで楽しいものになった。女性の歯科衛生士の柔らかな指ではなく、ゴツゴツした指が口の中を動き回る。その度に自分の体内に微力な電力が流れたかの様な感覚に陥っていたのである。
 
  歯のホワイトニングまでして、先日終了になってしまった。ほぼ毎週末のアバンチュールも落葉と共に終わってしまったのだ。