Fitzgeraldの日常

通訳案内士資格保有の貿易業の日常を書き綴っております。

こーいう本を読みました( 3 )

 後1週間ほどで今年も終わる。昨今の気候なのか、それとも別の理由のためか、年末という雰囲気がまだしてこない。テレビ特番なんかでは、そろそろ今年1年を振り返る特別番組が放送されそうではあるが、テレビに疎い自分にはあまり関係ない。だからといって世間に疎い訳ではなく、ある程度のニュースは目にしている。

 まぁ、この年末に「王将」の社長が射殺された事件には驚いたが、それ以前に驚いたニュースは、北朝鮮の実力者2位の張成沢氏が粛正されたことである。この人、以前から色々な疑惑が取りざたされており、中国のスパイやら韓国のスパイやら、秘密の資金源があるやら、まぁ、閉ざされた国であるので真偽の程は分からないが、今となっては、むごい事をする国だとしか思わない。ただ同時に、解放・融和派である事もまた事実であり、今後の北朝鮮の動向(本日も韓国を恐喝しているみたいだが)が気にはなる。

 「粛正」、この言葉を日本で日常的に使うことは、まずない。少なくとも、日本の政治場面でも粛正などという行為はされないし、その行為自体が、「民主的ではない」という意味と同義であるともとれる。

 日本国内には粛正は存在しないが、似た様な権力争いは存在するだろう。いち権力者が検察に圧力をかけ特捜部が描いた「ストーリー」通りの事件を仕立てていく。以前は正義のミカタであった特捜部の威光も地に落ちた昨今では、少しでも事件を調べれば、特捜部の筋書きの不自然さには気づくのかもしれないが、以前までは特捜部の筋書きこそが「事実」であったのだ。

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「外務省のラスプーチン」こと、佐藤優氏も、この国策捜査に巻き込まれた一人であり、その回想録的著作が本日のテーマである『国家の罠』である。

 考えてみれば、この当時、鈴木宗男氏は「宗男ハウス」という替え歌まで作られ、当時の外務大臣、田中真紀子女史は重要な会議に欠席、そして更迭。一方の小泉純一郎氏は支持率が若干下がったとはいえ、未だ高支持率で、電撃訪朝と拉致問題の進展で、さらに支持率を上昇させた時期。ワイドショー政治、といえば一言で済むが、政治に無関心である事よりはいいのかもしれない。

 表面的にはワイドショー的なネタを振りまき、隠れた部分では権力争いをしている。そして負けた側は生命は取られないまでも政治生命は絶たれる。そういう意味で、どの世界にも「粛正」は未だに存在するのかもしれない。

 昨今、巷を賑わしている、猪瀬氏の5000万問題ではあるが、案外これも権力闘争の一つなのかもしれない。徳州会のマネーに結びついている政治家は多いはずで、もっと大物もいるはずだと感じるが、著名な都知事一人で済ませるのだろうか。この本を読んだあとでは、ニュースを直視出来ないのもまた事実なのだ。