Fitzgeraldの日常

通訳案内士資格保有の貿易業の日常を書き綴っております。

I'm going crazy

気が狂いそうだ
 

  本日は大阪をブラブラ。自分ではかのテレビ番組

「途中下車の旅」の様な雰囲気で街歩きをして見た。いやはや、大阪、それも天王寺周辺の開発速度には仰天した。

 
  大阪といえば、俗に「大阪民国」と呼ばれる程、何もかもが日本基準からズレていることが多いのだが、とりわけ天王寺周辺は特に濃かった。その天王寺も数年前からかなり再開発が進んでおり、あべのハルカスの完成で、小綺麗な都市に生まれ変わってしまった。しかし、どれだけ外面が変わろうとも、そこに住んでいる人たちが変わらないものだから、少し歩けば、昔の面影を確認することが出来る。
 
  徐々に天王寺周辺も美しくなって来ているが、変わらないといえば鶴橋。関西の一大コリアンタウンである鶴橋は無骨な街だ。韓流ブームにのって、各地のコリアンタウンが綺麗に脱皮して行く中で、鶴橋は昔ながらの、流行に流されない独自路線を歩んでいる。
 
  鶴橋の駅を降りれば、街全体が焼肉店から排出される煙で煙たく、まるで終戦後の闇市がそのまま残っている様な天井の低い通路に、所狭しと焼肉店が立ち並んでいる。そして何十年も焼肉店から排出され続けた煙がコンクリートに吸着し、何処も黒ずんでいた。
 
  そんな中、天王寺に行くと必ず立ち寄る韓国料理店がある。それもコリアンタウン鶴橋ではなく、その隣の駅、玉造の商店街の一角にあるのだ。自分が通い始めた頃は、テーブルが2席、カウンターが5席の小さな店であった。それが徐々に大きくなって行き、本日は行ってみると、斜め向かいに持ち帰り専門の2号店が出来ていた。
 
  やはりこの店は抜群に美味い。日本語がたどたどしい女将が作る韓国料理はどれも美味く、毎日でも食べたくなる。営業時間を通じて定食を提供しているので、何種類も食べることはできないが、一度、二度と通ってしまう程、この店の味にはまってしまう。
 
f:id:fitzgerald_jp:20160103164914j:plain
 
  全てオススメだが、特に好きなのは「ユッケジャン」。韓国の辛いスープであるユッケジャンは、簡単な料理であるだけに、逆に料理の腕が試される。そして、山菜や春雨をスープとともに煮るだけだからこそ、素材の旨味が直接感じられる料理である。
 
  私はこの店で食べるまで、日本でまともなユッケジャンを食べたことがなかった。どこで食べてもお湯に唐辛子をとかした様な味。全く旨味を感じられない店が多かったのだ。一時期毎食2回ずつ数日間食べ続けた事があり、女将に、なぜここのユッケジャンはこんなに美味いのか質問したことがあった。
 
   入れている山菜や春雨は韓国から輸入しており、スープも毎朝丁寧に煮込んでいるのだとか。昔の韓国でもその様に作っていたが、時間が相当かかるものだからどんどん簡素化していったらしい。だけど、昔の作り方で作った方が美味しいからその様に作っているらしい。
 
  この味を求めて、色々な店でユッケジャンを食べたが、未だこの店に並ぶユッケジャンが出て来たことはない。また数ヶ月日間、このユッケジャンの味を楽しめないと思うと、気が狂いそうになる。残り少なくなったユッケジャンを見ながらそう思い、この至極のユッケジャンを最後の一滴まで飲み干した後、自分はまた天王寺周辺の探索に戻ったのである。

f:id:fitzgerald_jp:20160103164927j:plain