Fitzgeraldの日常

通訳案内士資格保有の貿易業の日常を書き綴っております。

The tiger puffer is said to be the most delicious of all the puffers

 
トラフグが一番美味しいと言われている

  そのトラフグを店名につけたフグ料理店に先日行ってきた。

  かくいう自分にはアジアン料理を常に食っているイメージがあり、自分もそれをあえて否定はしていないのだが、そんな自分でもフグだけは別格、大好きである。毎年冬の間に少なくとも5回程度は食べている。本当は週1回ぐらいのペースで食べたいのであるが、やはり高級料理に分類されるフグである、そうそう行く機会がないのだ。

  フグを食べるのはやはり宗右衛門町に限る。どこか雑多な感じがする街で、隣には同伴か、あるいはアフターで食事をしているキャバ嬢がお客様と一緒にいる隣で食うのがよく似合う。それもそのはず、フグの一大産地は下関であるが、一大消費地は大阪だ。それもずば抜けて大阪の消費量が多い。それほど大阪人にフグは愛されているのだ。

  フグは魚としては、そんなに魅力的ではない気がする。大きさも大きくはないし、骨も多い。さらには猛毒まで持っている魚だ。確かに調理方法が確立されているとはいえ、それでもフグを食べようと思うのは変人だとも思えなくはない。

  さて、今回赴いたのは、渋谷のとらふぐ亭。

tabelog.com

  入り口に生簀があり、フグが泳いでいたが高級店には見えない。どこか時間の経過とともに薄汚れた感じが漂っている。店内に入るまではここが美味しいフグを出すとは思えなかった。それが引き戸を開けて店内に入ると一転する。縦長に奥行きのある店内は板敷でカジュアルな和風。店内も非常に美しく清掃されており、  それぞれの個室が配置されていた。欲を言うなら、もう少し個室に独立性を持たせて隣の会話が聞こえない様にしてもらいたいが、この価格でそこまで求めるのは無理というものだろう。

  今回注文したのは、店が推している「てっちりコース」にした。

店舗の方が、手際良く鍋と、先付けの準備をしてくれる。

f:id:fitzgerald_jp:20160313131708j:plain
先付けは定番の「皮刺し」これを出され、口に入れると、自分はこれからフグを食べるのだという臨戦体制に入る。ポン酢のほのかな酸味が自分の胃を刺激し、急に食欲が高まって行くのだ。
f:id:fitzgerald_jp:20160313132351j:plain
その次は「てっさ」コリコリとした食感がうまい。これが分厚く切られていると固くて何度も噛まないといけない。やはりフグは薄切りに限る。もちろん自分はぶつ切りも好きではあるが、てっさには及ばない。
f:id:fitzgerald_jp:20160313132726j:plain
ぶつ切りのうまさは、そのかめば噛むほど口の中に広がるフグのうまさだろう。口の中がフグのうまさでみたされて、それだけで幸せな気分になる。
f:id:fitzgerald_jp:20160313132929j:plain
その次に運ばれてきたのは、「唐揚げ」フグは生であればコリコリととしているが、火を通すと柔らかく、そして非常に淡白だ。かじると身が骨からホロホロと外れ、それが衣の味と馴染んで非常にうまかった。
f:id:fitzgerald_jp:20160313133625j:plain
やはりメインは「てっちり」だ。今まさに泳いでいたフグがぶつ切りになって出されてきた。まぁ、本当にうまいフグは捌かれて一日程度置いたものだと言われるが、十分にうまかった。こんなに淡白な魚なのに食べても食べても飽きないし、味が口いっぱいに広がっていく。もう至福の時であった。
f:id:fitzgerald_jp:20160313134253j:plain
最後は定番の雑炊でしめ、2時間程度に及んだフグ料理に別れを告げた。
  フグを食べたという少しの満足感と、もうこれで終わりだという哀しさを表しているように、夜の渋谷は寒かった。しかし、普段であれば、「寒い、寒い」と愚痴の一つでもこぼすだろうに、今日だけは、まだまだフグの旬は過ぎていないという幸福感に満ち溢れていたのだ。
 
同行者:某S氏