Fitzgeraldの日常

通訳案内士資格保有の貿易業の日常を書き綴っております。

Ueno

  何もかも放棄したくなる様な熱気の中自分は上野にいた。

その日の上野は相変わらず中国からの旅行客と日中から飲んだくれている日本人でひしめき合い、まるでそこだけ、気温が5度高い様に感じた。湿気が身体にまとわりつき、呼吸をしているだけでじっとりと汗が出てくる。持っているハンカチもすぐに湿り始めた。
  待ち合わせの時間までまだ少し時間がある。もういてもたってもいられず、自分はギャランに入る。

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  外観からして一世代前の様なつくりの喫茶店である。店内も昔良き喫茶店という雰囲気が自分には気に入っている。今だカフェという言葉が一般化されていない頃から営業している昔ながらの喫茶店だ。昨今どこにでもあるカフェも好きなのだが、この様な昔ながらの喫茶店もどこか心休まるのである。昔と比べて一つ違う点は、かつては新聞や雑誌を読んでいたが、今はスマートフォン。自分もスマフォをいじっているうちに友人が到着した。
  注文したクリームメロンソーダはまだ少し口をつけた程度。クリームメロンを飲みながら雑談をしていると1時間程度が経ち、昼食にいい時間帯になった。
  本日は久しぶりに「ねぎし」で牛タンを食べることにした。何故だかこの時期になると無性に牛タンが食べたくなる。普段は対して美味しいとも感じないのに、数カ月に一度は無性に食べたくなって、いてもたってもいられなくなるのだ。そういう意味で、このクソ暑い中、上野まで出張り、さらには麦飯のお代わりをする自分には、夏バテは他人事である。
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  それにしても暑い。上野に来たのだからアメ横を歩いても何も買う気にならない。御徒町駅前まで歩くだけで、ぼたぼたと汗が乾いたアスファルトを濡らしていく。
  これだけ汗をかくと、身体中が気持ち悪い。ということで、アカスリに行くことにした。御徒町駅周辺にはかつてアカスリロードと自分が呼んでいた路地があった。短い路地に3店舗、アカスリとリフレッシュしてくれる韓国式垢すり店があり、多数の好きものゲイが足繁く通っていた。その状況が変わり始めたのは、下町の何もない路地にやたらガタイの良い韓国人が路地にたむろし、雰囲気が変わり始めた住人が訝しみネットを調べ、急速に増殖するゲイ向け韓国式垢すり店に仰天したからだ。
  住人たちは、ご近所でおこなわれているいかがわしい行為を許さなかった。入国管理局に通報し、一時期は垢すりのメッカとまで呼ばれていたその路地は急速に衰退して行く。
  現在は2店舗程が営業しているに過ぎないが、マッサージ師は全員が日本人、一時期の雰囲気を全く変えて営業しているに過ぎない。それでも、垢すりができるという特異性が支持を得て、今だに根強い人気がある様である。
  かくいう自分も、この暑さで吹き出した汗をさっぱりするために、自分は垢すりロードの中でも一番の老舗である「気楽」のドアを開けたのだ。
(続く)