Fitzgeraldの日常

通訳案内士資格保有の貿易業の日常を書き綴っております。

Ueno ( 2 )

  御徒町のアカスリの中でも最も古い「気楽」のドアを開く。この種の店の楽しみは、指名したマッサージ師がどんな人が来るのかというワクワク感。本日は大学生で柔道をしているというKを指名した。

  客の入りが多かったのだろうか、ロッカールームから浴室に入った瞬間、湿気と熱気が自分に降りかかってくる。そこに居るだけで汗がとめどなく出てきそうな勢いであった。
  広い浴槽に数十分浸かり、汗だくになった頃に、本日のK君が登場した。柔道をしているということは本当の様で、重心が下半身にある体型をしている。昨今の草食系とは違った体型で、オードリーの若林をワイルドにした愛嬌のある顔立ちの彼も汗だくになりながら一生懸命にアカスリをしてくれる。
  ひょんな事から、彼がこのアルバイトをしようと決めた理由の話になった。ノンケである彼が、このアルバイトをするには少し違和感がある。それで少し興味が湧いたのである。
  高収入アルバイトをする理由には、人それぞれの様々な理由がある。しかし彼の理由はとんでもなく「面白」かったのだ。出身である広島から進学のために上京。そして上京のために猛勉強をしたらしいのだが、彼を突き動かした根底には、「風俗」があった。上京をして風俗に行きたかったらしいのだ。
  無事に進学をし、風俗に行くという念願が叶った彼は、容易に想像できる様に風俗にはまっていくことになる。焼肉店やスーパーなどでアルバイトををし、その給与を持って風俗に通う日々が続いた。通っても通っても枯れることの無い欲望。もっと稼がなくては風俗に通うことができない。そのようなリビドーが彼が気楽のドアを叩く原動力になったのである。
  自分で「好き者」である事を自認する彼は、体育会系のノリの良さと、風俗好きということもあり、エロ用語に対する嫌悪感もなく、あっけらかんと自分の風俗体験を語ってくれる。それを聞きながら、その行為を想像しているだけで興奮してきた。
  彼の一番好きな風俗店はデリヘル。しかしなかなか価格も高価でもあるので、普段はオナクラに入り浸っているらしい。友人と一緒に行くのはピンサロで、これは風俗店で唯一学割が使えるので、お手軽に通っているらしいのだ。そして友人と一緒に行った後は、ご飯を食いながらどういうことをしたのかを語り合ったりするらしい。それを聞くにつれ、自分のテンションもあがった。
  アカスリをし、スッキリした後は、また蒸し暑い道を歩きながら、珍味館に向かう。おりしも週末の夜だ。普段は人もまばらな店内のテーブルは塞がっており、隣の別室らしき部屋に通された。
  クーラーがよく効いている部屋で、焼肉定食と茄子の香味揚げを注文する。
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  茄子の香味揚げは、さっぱりと酸味の効いたタレがかけられており、この暑い夏にはぴったりの食べ物であった。
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  そして、焼肉定食。中華店で焼肉定食というのも違和感があるかもしれないが、中華店が作る焼肉にはタレの他に違う「何か」が隠し味で使用されており、それはそれでうまいのである。
  かくして、自分のささやかな休日が終わった。